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抗不安薬(精神安定剤)の効果や副作用|抗うつ薬との違いも解説

[2025.06.15]

「抗不安薬ってどんな薬なんだろう」
「クセになったり、やめられなくなったりしないかな」

 

そんな不安を感じていませんか。

 

抗不安薬(精神安定剤)は、不安や緊張、パニックなどで生活に支障が出ている方にとって、心強いサポートとなる薬です。


副作用や注意点もありますが、適切に使えば、行動の選択肢を広げる大きな力にもなります。

 

安心して治療と向き合うために、抗不安薬のはたらきや種類、効果、副作用などをわかりやすくご紹介します。

抗不安薬(精神安定剤)とは

抗不安薬(精神安定剤)は、不安や緊張をやわらげ、こころとからだのバランスを落ち着かせてくれる薬です。


動悸や息苦しさ、手の震えなどの身体症状に加えて、「考えが止まらない」「気持ちが落ち着かない」といった精神的なつらさにも作用してくれます。


パニック発作や強い不安によって外出や会話が難しくなるような場合は、抗不安薬が行動を広げる助けとなります。

 

実は、不安の背景には、GABA(ギャバ)やセロトニンなど、神経伝達物質のバランスの乱れが関係していると考えられています。

 

抗不安薬はこれら神経伝達物資のはたらきを整えることで、不安に傾いた神経の状態を落ち着けていきます。

 

薬が効くメカニズムは、以下のように大きく2種類に分けられます。[1]

種類 不安を抑えるメカニズム
ベンゾジアゼピン系抗不安薬 神経の興奮を抑える「GABA(ギャバ:γ-アミノ酪酸)」という神経伝達物質の働きを強める
セロトニン1A受容体作動薬 気持ちのコントロールに関わる神経伝達物質「セロトニン」の作用を強める

 

また、抗うつ薬の一部にも、セロトニンのはたらきを整えて不安をやわらげる効果があります。

 

症状や体質に応じて、こうした薬を組み合わせたり、段階的に切り替えたりして治療を行います。

抗うつ薬については、以下の記事で詳しく紹介しています。

 

抗うつ薬とは|効果・副作用・種類を解説

おもな抗不安薬(精神安定剤)一覧

抗不安薬は、薬ごとに作用する時間が異なります。


ここでは、ベンゾジアゼピン系について作用時間のタイプと、薬の例を紹介します。[1]

持続時間のタイプ 薬の例
(カッコ内は先発品の名称)
短時間型
  • トフィソパム
    (グランダキシン)
  • クロチアゼパム
    (リーゼ)
  • エチゾラム
    (デパス)
中間型
  • アルプラゾラム
    (ソラナックス・コンスタン)
  • ロラゼパム
    (ワイパックス)
  • ブロマゼパム
    (レキソタン)
長時間型
  • オキサゾラム
    (セレナール)
  • メダゼパム
    (レスミット)
  • クロルジアゼポキシド
    (バランス・コントール)
  • メキサゾラム
    (メレックス)
  • クロキサゾラム
    (セパゾン)
  • ジアゼパム
    (セルシン・ホリゾン)
  • クロナゼパム
    (リボトリール・ランドセン)
超長時間型
  • ロフラゼプ酸エチル
    (メイラックス)

効果が速くて短いベンゾジアゼピン系抗不安薬は、突発的な不安を抑える「頓服」として使うこともあります。

 

また、作用が長いものは持続的な不安症状の抑制に有用です。

 

薬の効果には個人差があり、症状やライフスタイル、副作用のリスクなどを考慮しながら一人ひとりに合った作用時間の薬を選んでいきます。

抗不安薬(精神安定剤)の副作用

抗不安薬には、以下のような副作用が出ることがあります。

 

  • 眠気
  • ふらつき・めまい
  • 集中力の低下(頭がぼーっとする)
  • だるさ

 

これらの症状は、薬が脳の興奮をやわらげることで起こるものであり、ある意味で「薬が効いているサイン」とも言えます。


飲み続けると慣れて気にならなくなるケースもありますが、生活に困るほどの場合はご相談ください。

 

また、症状が落ち着いていてもいきなり薬をやめると、「離脱症状」が起きて不安症状がぶりかえしたり頭痛、イライラなどが出たりする場合があります。

 

そのため、薬を減らしたりやめたりする際は、様子を見ながら少しずつ減らしていきます。

気になる点がある場合は、自己判断でやめずに早めにご相談ください。

薬以外の対処法も大切

ベンゾジアゼピン系の抗不安薬は、上手に使えば不安をコントロールして生活の選択肢を大きく広げてくれる薬です。

 

ただし、薬だけではなく、生活習慣を見直すことも同じくらい大切です。

体をととのえることは不安を軽減することにつながっています。

睡眠不足や飲酒、過労などは、パニック発作をはじめとする体調悪化につながることがあります。

 

抗不安薬(精神安定剤)に関してよくある質問

ここからは、抗不安薬に関してよくある質問にお答えします。

抗不安薬(精神安定剤)はクセになりますか?

適切な使い方をすれば、抗不安薬がクセになる、やめられなくなるなどは基本的にありません。


ただし、急に薬をやめると「離脱症状」が出て、不安のぶりかえしや不眠などが出る可能性があります。

 

薬の使いかたは、体調を見ながらいっしょに決めていきましょう。

抗不安薬(精神安定剤)と抗うつ薬との違いは何ですか?

抗不安薬(精神安定剤)と抗うつ薬は、どちらも気持ちを落ち着ける薬ですが、作用する方法が異なります。

 

  • 抗不安薬(精神安定剤):即効性があり、不安や緊張をその場でやわらげる

  • 抗うつ薬:脳内の神経伝達物質のバランスを整え、数週間かけて不安や抑うつを改善する

 

症状によっては、両方の薬を組み合わせて使うこともあります。

抗不安薬(精神安定剤)に市販薬はありますか?

抗不安薬(精神安定剤)とまったく同じ作用をする市販薬は、日本では承認されていません。

 

市販されている漢方薬や鎮静作用のある抗ヒスタミン薬などを配合した薬は、医療用の抗不安薬とは異なります。

 

薬が必要な際は受診し、体調に合うものを使用するようにしましょう。

抗不安薬(精神安定剤)で上手に気持ちをコントロールしていきましょう

抗不安薬は、過度な不安や緊張をやわらげる薬です。

薬ごとに作用する時間が異なり、困りごとに応じて患者様一人ひとりに合わせた薬を選んでいきます。

 

眠気をはじめとする副作用を心配する方もいらっしゃいますが、上手に使えば不安をコントロールして行動の選択肢を増やす大きな助けになります。


治療について気になることがあれば、抱え込まずにご相談ください。

 

よりよく生きるための選択肢を、いっしょに探していきましょう。

 

診療は予約制となっております。詳しくは以下のページをご参照ください。

初診・再初診のご予約方法、診療の流れ



参照文献:

[1]今日の治療薬2025|南江堂

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