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睡眠薬の種類|効き方や副作用も解説

[2025.06.15]

「睡眠薬って飲んで大丈夫なの?」「一度飲み始めたら、やめられなくなるんじゃないかな」


そんな不安を感じていませんか。

 

睡眠薬は、睡眠の質を改善して心身の回復をサポートする薬です。

 

睡眠薬の種類や効き方、副作用への向き合い方までを、やさしく丁寧に解説します。

 

睡眠薬とは

睡眠薬とは、不眠症の症状をやわらげて十分な休息を得るために使用される薬です。

 

不眠症には、以下のようにいくつかのタイプが挙げられます。

  • 入眠困難:寝つきが悪い
  • 中途覚醒:途中で目が覚める
  • 早期覚醒:早朝に目が覚めてしまう

また、熟眠障害というぐっすり眠れた感じがしない状態をともなう場合もあります。

 

睡眠は、GABA(γ-アミノ酪酸)、オレキシン、メラトニンなど、複数の神経伝達物質によって調整されています。

 

睡眠薬はこれらの物質に作用し、脳の興奮を抑えたり眠気を促すことで効果をあらわします。

 

なお、睡眠薬は「無理やり眠らせる薬」ではなく、「眠れる状態に脳を導くためのサポート役」です。

 

十分な睡眠は、体内の修復、免疫の強化、精神的安定などを助け、生体の回復力を維持する上で欠かせません。

 

睡眠薬は、この「本来の回復力」が機能するよう環境を整えるための選択肢のひとつです。

 

不眠が続いている場合は、薬で睡眠リズムを取り戻しながら心身の回復を助けることが大切です。

 

生活習慣の改善も組み合わせ、最終的には薬に頼らなくても眠れるよう目指していきましょう。

【作用時間】おもな睡眠薬の種類と特徴

睡眠薬は、作用時間の長さによって大きく4つに分類されます。

 

作用時間ごとに、よく使われる症状と代表的な薬をまとめました。[1]

タイプ
(よく使われる症状)

代表的な薬
(カッコ内は先発品名)

超短時間作用型

(入眠困難)

  • ゾルピデム
    (マイスリー)
  • ゾピクロン
    (アモバン)
  • エスゾピクロン
    (ルネスタ)
  • トリアゾラム
    (ハルシオン)
短時間作用型
(入眠困難・早期覚醒)
  • ダリドレキサント
    (クービビック)
  • エチゾラム
    (デパス)
  • リルマザホン
    (リスミー)
  • ブロチゾラム
    (レンドルミン)
  • ロルメタゼパム
    (ロラメット・エバミール)

中間型
(入眠困難・中途覚醒・早期覚醒)

  • スボレキサント
    (ベルソムラ)
  • エスタゾラム
    (ユーロジン)
  • フルニトラゼパム
    (サイレース)
  • ニトラゼパム
    (ネルボン・ベンザリン)

長時間型
(早期覚醒)

  • レンボレキサント
    (デエビゴ)
  • クアゼパム
    (ドラール)
  • フルラゼパム
    (ダルメート)

 

ここからは、薬の種類ごとに睡眠薬を解説します。

ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系睡眠薬

ベンゾジアゼピン系睡眠薬および非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、古くから広く使われているタイプの睡眠薬です。


両者は化学的な構造は異なりますが、脳内の神経伝達物質GABA(ギャバ:脳の興奮を抑えて眠気を促す物質)の働きを高めるという点で、作用の仕組みはほぼ同じです。

ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系睡眠薬のどちらも、効果が高く、即効性に優れた薬が多いのが特徴です。[1]

作用タイプ 薬の名前
(カッコ内は先発品名)
超短時間作用型
  • トリアゾラム
    (ハルシオン)
  • ゾルピデム
    (マイスリー)
  • ゾピクロン
    (アモバン)
  • エスゾピクロン
    (ルネスタ)
短時間作用型
  • エチゾラム
    (デパス)
  • リルマザホン
    (リスミー)
  • ブロチゾラム
    (レンドルミン)
  • ロルメタゼパム
    (ロラメット・エバミール)
中間型
  • エスタゾラム
    (ユーロジン)
  • フルニトラゼパム
    (サイレース)
  • ニトラゼパム
    (ネルボン・ベンザリン)
長時間型
  • クアゼパム
    (ドラール)
  • フルラゼパム
    (ダルメート)

作用時間の長さが異なるため、不眠のタイプや現在の困りごと、回復具合などに応じて適した薬を選びやすいのがメリットです。

 

ただし、漫然と長期間使用すると、薬が効きにくくなったり、やめにくくなったりすることがあります。

 

また、筋肉をゆるめる効果があるため、年齢の高い方は夜中にトイレに起きた際にふらつきや転倒のリスクがある点も注意が必要です。

 

とはいえ、正しく使えば、副作用を過度に恐れる必要はありません。


自己判断で量を変えたり急にやめたりせず、様子を見ながらいっしょに治療を進めていきましょう。

オレキシン受容体拮抗薬

オレキシン受容体拮抗薬は、脳を「起きている状態」に保つオレキシンという物質の働きを抑え、自然な眠りを導くタイプの睡眠薬です。

 

オレキシンは、1998年に日本の研究チームによって発見された神経伝達物質で、覚醒に関わる重要な役割を担っています。

 

その働きをブロックすることで、脳がスムーズに睡眠モードへと切り替わりやすくなると考えられています。

現在は、以下のような薬剤が処方されています。

  • ダリドレキサント(クービビック)
  • スボレキサント(ベルソムラ)
  • レンボレキサント(デエビゴ)

これらの薬は、直接的に「眠気を起こす」のではなく、「覚醒のスイッチをやわらかくオフにする」ように作用し、より自然な形での眠りをサポートします。

 

薬ごとに作用時間が異なり、「寝つきが悪い」「途中で目が覚めてしまう」など、症状に応じた使い分けが可能です。

 

また、ベンゾジアゼピン系の薬に比べてふらつきが少なく、耐性ができにくい点も特長です。

 

ただし、人によっては夢見が悪くなったり、翌朝に疲労感を感じたりすることもあります。

 

気になる症状があれば、無理に我慢せずご相談ください。

 

合う薬を一緒に見つけていきましょう。

メラトニン受容体作動薬

私たちの体には、約24時間周期の体内時計が備わっており、このリズムが睡眠と覚醒のバランスを調整しています。

 

メラトニン受容体作動薬は、体内時計に働きかけることで、乱れた睡眠リズムを整える薬です。

 

大人と子どもで保険適用になる薬剤が異なり、大人にはラメルテオン(ロゼレム)、神経発達症(発達障害)による入眠困難がある子どもには、メラトニン(メラトベル)を使用します。


体内時計の乱れにより朝起きられない方には、少なめの量を夕方に飲んでいただくこともあります。

 

また、通常の睡眠薬のように「寝る直前に飲む」わけではなく、継続的に服用することで安定した効果が得られるのが特長です。

 

なお、メラトニンのサプリメントと混同されることもありますが、日本国内でメラトニンは医薬品のみの扱いとなっており、サプリメントとしての流通は認められていません。


一部の方が海外から個人輸入するケースもありますが、品質や用量管理の観点から、安全性には注意が必要です。

 

体内時計の乱れによる不眠やリズムのずれを改善したい場合は、市販の睡眠薬やサプリメントではなく、処方する薬を使いながら生活を整えていきましょう。

その他の薬

通常の睡眠薬だけで十分な効果が得られない場合、催眠作用の強い抗精神病薬や抗うつ薬を、補助的に睡眠薬として用いることがあります。

 

具体的には、レボメプロマジン(ヒルナミン・レボトミン)、ミアンセリン(テトラミド)などをよく使用しています。

睡眠薬の副作用や対処法

睡眠薬には、以下のような代表的な副作用がいくつかあります。

  • 眠気の持ち越し:眠気が翌朝まで残ること
  • ふらつき:薬で筋肉の緊張がゆるみ、足元がふらつくこと
  • 健忘:薬を飲んでから眠りにつくまでの記憶が曖昧になること
  • 離脱症状:長く飲んでいた薬を急にやめた際、不眠の悪化や不安が起こること

こうした副作用が気になる場合は、薬の種類を変える、量を調整するなどで対処が可能です。

 

また、薬を飲んだあとはすぐに布団に入り、眠る体勢になることも大切です。

 

起きて活動を続けてしまうと、ふらつきや健忘などが出やすくなる場合があります。

 

離脱症状についても、急にやめるのではなく、眠れるようになってきた段階で少しずつ減らしていけば問題ありません。

 

不安なことや気になることがあれば、遠慮なくご相談ください。

薬以外で睡眠を改善する方法

睡眠薬だけでなく、眠りの質を高める工夫や、眠りを妨げる要因の見直しも大切です。

 

生活習慣の改善や根本的な原因への対処により、不眠の症状がやわらぐこともあります。

生活習慣をととのえる

薬を使用しながら、日々の生活習慣を見直すことで、睡眠の質をよりよく保てるようになります。

 

たとえば、以下のような工夫が有効です。

  • 生活のリズムを一定にする
  • 朝のうちに太陽の光を浴びる
  • 適度な運動をする
  • 寝酒は控える
  • とくに夕方以降のカフェイン(コーヒー類)やニコチン(タバコ)を控える

また、睡眠の記録をつけ、問題となる考え方や行動を修正するのも効果的です。

 

できることから少しずつ取り組んでいきましょう

眠りを妨げる原因を取り除く

不眠の背景にほかの病気や薬の影響がある場合、それを取り除くことで眠りの質が改善することもあります。

病気が原因の不眠

以下のような病気が、不眠の原因となっている場合があります。

 

症状に応じて、専門の医療機関をご紹介し、治療を行っていきます。[2]

病気 病気の概要・不眠をまねく理由
睡眠時無呼吸症候群
  • 眠っている間に呼吸が浅くなったり止まったりする病気
  • いびきや日中の強い眠気が特徴
  • 身体の酸素が不足し、深い睡眠が取れなくなる
レストレスレッグス症候群
  • 夕方から夜にかけて、足にむずむずするような不快な症状があらわれる病気
  • 足の不快感で眠りが浅くなりやすい
アトピー性皮膚炎/慢性蕁麻疹
  • かゆみをともなう湿疹を繰り返す病気
  • 強いかゆみがあると眠りが妨げられることがある

これらの病気がよくなるまでは、睡眠薬を使って体力の回復につとめることもあります。

薬の副作用による不眠

ほかに服用している薬がある場合、その薬の副作用として不眠があらわれることもあります。

 

ただし、「眠れなくなるから」と自己判断で薬を中止するのは危険です。

 

副作用による不眠が疑われるときは、その薬を処方している医師と相談することが大切です。

 

他の医療機関から処方されている薬がある場合は、薬の名前や量をお知らせください。

お酒に頼るのはNG

「寝酒をするとよく眠れる」と感じる方もいるかもしれませんが、お酒による入眠は避けてください。


アルコールはかえって眠りの質を下げてしまい、十分な休息が取れなくなります。

 

また、睡眠薬とアルコールを同時に摂取すると、眠気の持ち越しや呼吸抑制などの危険もあるため、併用はできません。

 

睡眠薬に関するよくある質問

ここからは、睡眠薬に関してよくある質問にお答えします。

睡眠薬を飲み始めるとやめられなくなりますか?

眠れるようになれば、薬をやめることは可能です。


睡眠薬はあくまで「眠れる状態に戻すためのサポート」です。

 

使いながら生活習慣やストレスの見直しなどを行い、少しずつ薬なしでも眠れるようになるように取り組んでいきます。

 

ただし、自己判断で急に薬を中止すると、不眠がぶり返してしまうこともあります。


状況を見ながら、少しずつ減らしていきましょう

GABAは効果がありますか?

GABA(ギャバ)はもともと私たちの脳内に存在し、気持ちを落ち着けたり、不安をやわらげたりするはたらきがあります。

 

リラックス作用があるとして、市販のサプリメントや食品にも使われています。

 

ただし、GABAを口から摂取しても脳にはほとんど届かないため、医薬品のような確かな睡眠効果はありません。[3]

 

市販されているGABA入り食品やサプリメントは、リラックス感の向上を目的としたものであり、医薬品とは異なる位置づけです。


不眠が続くときは、サプリメントに頼りすぎず、一度医師に相談することをおすすめします。

 

症状に合った治療法を選ぶことが、改善への近道です。

友達からもらった睡眠薬を飲んでもいいですか?

人からもらった睡眠薬を飲むことは、絶対に避けてください。


睡眠薬は、一人ひとりの症状や体質に合わせて、種類や量を慎重に調整して処方されています。


たとえご家族の薬であっても、安易に飲んでしまうと思わぬ副作用や体調悪化につながる恐れがあります。

 

睡眠薬が必要な場合は必ず受診してください。

だんだん量を増やさないと眠れなくなるのですか?

現在使われている睡眠薬は安全性が高く設計されており、量を増やさないと効かなくなるということは少ないとされています。

 

もし「前より効かなくなった」と感じる場合、それは薬の効果が落ちたのではなく、不眠の状態や生活環境が変化した可能性もあります。

薬の種類を見直したり、生活習慣を再確認したりすることで改善が期待できます。


受診の際には、現在の状況や困っていることを詳しくお話しください。

睡眠薬と上手にお付き合いしていきましょう

睡眠薬は、不眠の症状を一時的にやわらげ、「眠れる状態」へと整えるための治療のひとつです。


正しく使えば安全性も高く、こころとからだの回復力をしっかりと支える味方となります。

 

もちろん、不安なことや気になる副作用があれば、ひとりで悩まずご相談ください。


睡眠薬だけに頼らず、生活習慣の見直しや原因へのアプローチをあわせて行うことで、薬に頼らなくても眠れる日を目指していきます。

 

安心して、前向きに治療に取り組んでいきましょう。

 

診療は予約制となっております。詳しくは以下のページをご参照ください。

初診・再初診のご予約方法、診療の流れ

参照文献:
[1]今日の治療薬|南江堂
[2]睡眠薬の適正な使⽤と休薬のための診療ガイドライン

https://jssr.jp/files/guideline/suiminyaku-guideline.pdf
[3]Nakamura, Utano et al. “Dietary Gamma-Aminobutyric Acid (GABA) Induces Satiation by Enhancing the Postprandial Activation of Vagal Afferent Nerves.” Nutrients vol. 14,12 2492. 16 Jun. 2022, doi:10.3390/nu14122492

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35745222/

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