解離性障害
解離性障害:つながりを取り戻すために
周囲の世界が映像のように思えて、現実感がない、自分自身が自分ではないような、感覚になったことはないでしょうか。
もしかしたら、それは「解離性障害」と呼ばれる心の状態かもしれません。
解離性障害は、心の機能の一部が一時的に、あるいは継続的に分離してしまうことで、記憶、意識、同一性、知覚などに影響を及ぼす疾患です。
ご本人がきづいていなくて周りが様子の普段と異なることで異変を感じることもあります。
小さいころから解離を頻繁に経験していると、それが当たり前だと感じていることもあります。
解離性障害は、極度のストレスやトラウマ体験(虐待、事故、災害など)への対処メカニズムとして発症することが多いとされています。
心が耐え難い現実に直面した際、その苦痛から自分を守るために、意識や記憶を切り離すことで適応しようとする反応です。
これは、無意識のうちに起こる防御反応であり、本人の意思でコントロールできるものではありません。
解離性障害の症状
解離性健忘: 重要な個人的な情報(特にトラウマに関連する出来事)を思い出せない
解離性遁走: 突然、家や職場を離れてさまよい、自分の過去や同一性を思い出せない
離人症/現実感喪失症: 自分自身が現実ではないように感じる(離人症)、あるいは周囲の世界が現実ではないように感じる(現実感喪失症)
解離性同一性障害(多重人格): 複数の異なる人格(または自己状態)が存在し、それぞれが行動や思考を支配する
解離性健忘や解離性遁走はそのミステリアスな様子から映画やドラマに取り上げられることがありますが、
クリニックにいらっしゃるのは、離人症や解離性同一性障害の方です。
過去の記憶のフラッシュバックがおきて解離するということもよくあります。
解離がおきたとき、グラウンディングや他の感覚へ意識をむけることで「いまここ」に戻ってこられるようにします。
解離性障害の治療
解離性障害の治療は、まず安全で安心できる環境を確保することから始まります。
当院ではトラウマケア、心理療法(カウンセリング)、必要に応じて薬物療法を組み合わせながら進めていきます。
心理療法では、何が解離を引き起こしているのか丁寧に砂を払うように探していきます。
トラウマが引き金になっているときは、EMDR(眼球運動による脱感作と再処理法)やSE(ソマティックエクスペリエンシング)などで心身の記憶を処理していきます。
薬物療法は、解離症状そのものを直接治療するものではありませんが、うつ病や不安障害など、併発しやすい他の精神症状を軽減するために使用します。
解離性障害の成り立ちにはそれぞれに方の深く長い歴史があり、治療には時間を要することが多く、
一進一退を繰り返すこともあります。治療がつらいときは休み休み、ご自分のペースで治療を続けることが大切です。
一緒に心の回復への道を歩んでいきましょう。
つながりを取り戻し、自分らしく、穏やかな日々を送るために、どうぞお気軽にご相談ください。
当院では、15歳以上の患者様の解離性障害治療をおこなっております。診療は予約制となっております。詳しくは以下のページをご参照ください。
初診・再初診のご予約方法、診療の流れ
