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更年期のトンネルを抜けた小田さんのお話1

[2025.06.16]

【花咲く物語3】

(注)当院の患者様から同意を得た方のお話です。治療や回復過程の本質的な部分には影響がない程度で、個人情報が特定されないよう適宜設定を変更してあります 

  

〈登場人物〉 

小田さん 50代女性 

〈困りごと〉 

悲しいことばかりが起こって 不幸から抜けられない

〈治療期間〉 

1年 

〈症状が出てから初診までの期間〉 

2年 

〈治療法〉 

薬物療法・趣味の再開

カウンセリング(自己受容の練習・不安対処スキルの習得)

〈現在のようす〉 

15年ぶりに仕事を再開

ヘルスケア治療のみ継続

 

   更年期は女性ホルモンの揺らぎが原因といわれていますが、体の変化だけでなく介護、子供の独立、配偶者の病気やケガなど様々な生活の変化が起きやすい年代でもあります。他院で抗うつ薬やtms治療(経頭蓋磁気治療)を受けてもうつ状態から抜けられなかった方が、徐々に行動範囲を広げて、再び人生を楽しみ、仕事ができるようになるまでの軌跡です

 

 

 

 4月の日差しの明るくなるころに、小田さんは「婦人科でみていただいたときに思わず泣いてしまって、こちらを紹介されました」と言って当院を初診されました。

 目元はさみしく声も震えるような小さな声です。初診時の心理検査では、中等度のうつ状態ということが示唆されました。

お話を伺うとわずか1年の間に、身近な家族の病気やけがが重なっていました。

息子さんが海外で仕事をしていた時に事故に巻き込まれけがをしたため、仕事が続けられず不本意ながら日本に帰されたこと、夫にがんの疑いがあるといわれ次々と検査をしているけれどはっきりした結果がわからないこと、施設に入っていた母親がコロナ禍で十分にお見舞いに行けないうちに亡くなってしまったこと、義理の母ががんを再発して一人暮らしが難しくなったことなど。

 どれか一つだけでも心配で心の負担になるようなできことが、たった一年の間に立て続けに起こってしまったのです。心の整理がつく前に次の心配事が起こり、心の休まる間が全くありませんでした。初めはなんとか気丈にふるまっていたWさんも次々と起こる「よくないこと」に圧倒され、自信を失ってしまいました。

 

(次回へ続きます) 

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