ASD(自閉スペクトラム症)
ASD(自閉スペクトラム症)多様な個性を活かすために
「人間関係が苦手」「どうしても妥協できない」「空気がよめない」「みんなの笑った冗談がわからない」「音や光が気になる」「なぜか集団で浮いてしまう」「ガールズトークが苦手」「大人数の飲み会がつらい」これは全部、診察の中でASDの方からお聞きする悩みです。
ASDは広く知られるところになって、ご自分でもweb上チェックリストなど試していらっしゃるかもしれません。ASDは、代表的な神経発達症で、社会性、コミュニケーション、そして特定のものに強く惹かれる、や反復行動といった特徴があります。以前は自閉症、アスペルガー症候群、特定不能の広汎性発達障害などと呼ばれていたものが統合された概念です。
ASDは病気ではなく、脳の機能や発達の仕方の違いによる「特性」であり、その特性は一人ひとり異なります。虹のスペクトラムのように、様々な特性の組み合わせや程度の違いがあるため「スペクトラム症」と呼ばれるようになりました。
ASDの主な特性
・社会的コミュニケーションと相互作用の困難
視線が合いにくい、表情やジェスチャーの読み取りが苦手
相手の気持ちを推測するのが難しい、共感しにくい
会話のキャッチボールにならずに一方的に話し続ける
集団行動で浮く
・限定された興味と反復行動:
特定の物事や活動に強いこだわりや興味を持つ
同じ行動やルーティンを繰り返すことで安心する
感覚の過敏さ(特定の音や光、匂いに敏感)
幼少期からこういった特徴が現れることが多いですが、言語面での発達がよいときや、社会的な関わりが複雑になる思春期以降に、生きづらさとして顕在化することもあります。周囲からは「変わった人」「空気が読めない」と誤解され、本人も自信を失ったり、二次的にうつ病や不安障害を併発したりするケースも少なくありません。
特に大人になると、この特性と折り合うために、飲酒したり、過剰な食事制限をしたり、周囲に迎合し、別の生きづらさを感じている人は多くいらっしゃいます。
もし、ご自身や身近な方がASDの特性を持っているかもしれないと感じたら、まずは専門機関への相談をお勧めします。当院でも専門医が詳細な問診や心理検査を通じて、特性の有無や程度を診断いたします。
ASDは特性であり、治療によって「治す」ものではありませんが、特性を理解することで、自分のとらえ方を変え、ご自身の強みに目を向けることで、社会生活での困難を軽減することができます。
治療法
環境調整: ノイズキャンセリングイヤホン等の使用で刺激を減らす、ルーティンを明確にするなど、過ごしやすい環境を整える。
認知行動療法: ネガティブな思考パターンを修正し、ストレスへの対処法を身につける。
薬物療法: 不安や不眠、ADHDの症状など、併発する精神症状を軽減するために用いられることがあります。
ASDの特性を持つ人々は、時に驚くべき集中力や独特の視点、優れた記憶力など、社会で役立つ素晴らしい才能を秘めています。当院では、ASDの特性を持つ方々が、ご自身の特性を理解し、強みを活かして生きていけるように個別のニーズに合わせたきめ細やかなサポート行っています。一人で悩まず、お気軽にご相談ください。
当院では、15歳以上の患者様のASD(スペクトラム症)治療をおこなっております。診療は予約制となっております。詳しくは以下のページをご参照ください。
初診・再初診のご予約方法、診療の流れ