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うつ・うつ病

目次                    

1.うつ病とは

2.うつ病のサイン

3.どんなときにうつ病になる? 

4.どこからが病気?   

  ☞うつセルフチェック

5.うつ病の治療

6.うつかなと思ったら

7.東京はなクリニック初診案内

 

1.うつ病とは

うつ病は、気分が落ち込んで何をしても楽しめない、眠れない、食欲がない、といった症状が現れ、日常生活がスムーズに送れなくなる病気です。

一生涯のうちでかかる確率は15%程度、つまり6人に1人はかかる身近な病気です。
かかるととても辛い病気ですが、科学的なエビデンスに基づいて確立された治療法があり、治る確率が高い病気と考えられています。

 

2.うつ病のサイン

うつ病は体と心の病気です。
精神症状、身体症状の両方のサインがあります。

 

精神症状

精神の働きは「知・情・意」という言葉で表現されることがありますが、うつ病になるとその働き全てが鈍くなり、生き生きした感じが失われます。

脳が濃い霧で包まれてしまう、またはゼリー状の膜で包まれるようなイメージを浮かべていただくとわかりやすいかも知れません。

 

「知」: 思考や理解力、判断力が低下

・メールを一通書くのに半日がかかってしまう
・おつりの計算、日数の計算など簡単な計算ができなくなる
・文章を何度読んでも意味が頭に入ってこない
・スーパーに行っても買う物が決められなくてぐるぐる歩き回ってしまう
・何度も目的の駅を乗り過ごしてしまい、いつもまでも電車から降りられない
・簡単なミスを何度もしてしまう
・何度聞いても覚えられない

 

「情」:感情や感覚が鈍る

・何を食べても味がしない、砂やゴムを食べているような気がする
・色のないモノクロの世界のように感じる
・感動というのがどんな感じかわからなくなる
・何も心に響かない
・自分などダメだと思う

 

 

 

「意」:やる気がおきない

・人と会いたくない
・服を選ぶのが面倒
・体が重くてきぱき動けない
・お風呂に入るのが面倒
・部屋がぐちゃぐちゃ

 

身体症状

身体症状が先に出て、診療内科や精神科ではなく内科や循環器科、整形外科にかかることもよくあります。

・頭痛や頭重感
・背中や肩、腰にしつこい痛みがある
・喉につまりがある
・大きく息を吸い込めない
・何もないときに涙が出る
・いつも疲れている
・疲れがいつまでも抜けない
・寝付けない、目が早く覚める。
・お腹がすかない

 

3.どんなときにうつ病になる?

うつ病のサインが出る前に、多くの場合ストレスのかかる出来事を経験しています。
よくあるものを挙げてみます。

・睡眠時間を削ってまで仕事をし続けた。
・とにかく我慢と自分に言い聞かせてやり続けた。
・育児や介護、家事などをほぼひとりでやっていた。
・上司や同僚からのパワハラ、モラハラを誰にも言えずに抱えている。
・配偶者と会話が成り立たない。
・親から要求され続け、苦しいのに断ることができない。
・仕事が多すぎて先が見えない。
・長く抑圧し続けたトラウマがある。
・結婚、引っ越しなど大きな環境変化があった。
・仕事の中で昇進や抜擢があり,役割が重くなった。

一つずつは小さくても複数重なり合って大きなストレスになることもあります。

 

4.どこからが病気? 

☞うつセルフチェック

 

うつ病の代表的な精神症状は「憂うつな気分」と「やる気がしない」です。

憂うつになる、やる気がしないといった感情の波はおそらく誰でも経験するのではないでしょうか。
いじめ、セクハラ、パワハラなどの人間関係の苦しみや、仕事での失敗、大切な人やペットとの別れなどが原因で、辛い気持ちになって元気が出ないのは自然な感情の動きです。

どこまでが自然な感情でどこからが病気なのでしょうか。
辛いけれど医療機関に行くほどのことなのか、受診を迷っている方は、どのくらい続いているか、その期間を確かめてください。

実は、うつ病も軽度~中等度までの症状では、健康な方の落ち込みとあまり違いはありません。
うつ病と判断するには、症状がどのくらい続いているかを確かめる必要があります。

気分転換や時間が経過したりすることで次第に癒されていくときは心配ありません。
ゆっくり休むことを意識しながら日常生活を送ってください。

一方、うつ病の場合には原因となっていた事柄がなくなっても気分の落ち込みが続き、仕事や学校などの日常生活に戻れなくなることがあります。

「憂うつな気分」「やる気がしない」という2つの症状のうち、どちらかひとつでも
「ほとんど一日中」×「ほとんど毎日」×「2週間以上」

続いている場合はうつ病の可能性があるので、早めに医療機関に相談をしましょう。

 

5.うつ病の治療

うつ病は、放置すると症状がより重くなったり、治りにくくなったりして、社会生活そのものに大きな支障が出ることがあります。

現在は治療選択肢も多く、うつ病は「治りやすい病気」になっているので、早めに治療を受けることが大切です。

うつ病治療は大きく「休養」「薬物治療」「心理療法(カウンセリング)」の3つに分けられます。

薬物治療で回復した後、再発しにくくなるようにカウンセリング、リラクゼーショントレーニングなどをその方の症状に合わせて治療法を組み合わせていきます。

回復の段階に応じて適した治療内容は変わっていきますので、よく相談しながら進めていきましょう。

 

休養

まず十分な休養をとって心と体を休ませましょう。
今の生活の中でやらなくてもいいもの、減らせる負担がないか振り返ってください。

完璧な仕事を目指していないでしょうか?
場合によっては職場に相談したり、休職したりする必要があります。

家事には限りがありません。
できるだけシンプルにして手抜きをしましょう。

 

 

薬物治療

薬物療法は、休養と並んでうつ病の初期治療の2大柱です。

うつ病に用いる治療薬には多くの種類があります。
日本で承認されている抗うつ薬は依存性もなく安全に設計されていますので、あまり不安にならずにまずは処方箋通りに飲みましょう。

ただ抗うつ薬は効果よりも先に副作用が出ることがあるので、つらく感じる時期があるのも事実です。
そのようなときは、躊躇せず担当医に相談をしてください。
一緒に合った薬を探していきます。

 

心理療法(カウンセリング)

カウンセリング

十分な休養と薬物治療を組み合わせることで症状のかなりの部分が回復します。
カウンセリングは、回復を維持して再発を予防するために行うので、通常は症状が改善してから取り組みます。

カウンセリングでは不安対処のためのリラクゼーションスキルや考え方を学んでレジリエンスを身につけていきます。
カウンセリングによりより柔軟な考え方を学ぶことで心のしなやかさを修得して生きづらさを解消していきます。

 

うつ病に対する代表的な心理療法には「認知行動療法」があり、その効果は多くの研究で実証されています。

またトラウマからうつ病へ発展する場合もありますので、うつ病の背景にトラウマがあるときは、専門的なトラウマ治療を推奨しています。

当院でカウンセリングを受けるには

 

6.うつ病かなと思ったら

うつ病は誰でもかかる可能性のある病気です。精神疾患の中でも研究が進んでおり、治療法や回復した後の再発予防法までが広く研究されています。

けがや風邪で病院を受診するように、うつ病のサインに心当たりがある方は、一人で悩まずご相談にいらっしゃってください。

当院では医師、カウンセラー、各スタッフが患者様の回復をサポートします。


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執筆・監修

こちらの記事は、下記の精神科医が執筆・監修しております。

 

興梠真紀(こうろ まき)

  • 役職:東京はなクリニック院長
  • 資格:精神保健指定医/日本精神神経学会認定専門医/日本医師会認定産業医/労働衛生コンサルタント
  • 学会:日本精神神経学会

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