メニュー

鉄とメンタル

[2026.05.12]

鉄とメンタルの深い関係

当院で初診時に採血をする理由

思わず「鉄のメンタル」と読んでしまった方もいらっしゃうるかもしれませんが、「鉄とメンタル」の関係についてお話します。

当院を初めて受診される際、「心の問題で相談に来たのに、なぜ採血?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれません。実は、心療内科の診療において、血液検査、特に「フェリチン(貯蔵鉄)」の値をチェックすることは、重要な意味を持っています。

最新の医学的知見に基づいて、心身の健康と鉄分の深い関係についてみていきましょう。

1. 「貧血ではない」のに鉄が足りない? 

一般的に「鉄分不足」というと、ヘモグロビン値が低い「貧血」を思い浮かべる方が多いでしょう。しかし、ヘモグロビン値が正常でも、体内の「貯蔵鉄(フェリチン)」が空っぽになっている状態があります。これを「隠れ鉄欠乏」と呼びます。

鉄と関連した検査項目はいくつかあります。ヘモグロビンが「お財布に入ってるお金」とすると、フェリチンは、「鉄の貯金」です。貯金がない状態で無理をして活動を続けると、血液中のヘモグロビン(お財布のお金)が底をつく前に、心と体にさまざまな不調が現れ始めます。

2. 鉄不足が「メンタル」に与える影響 

鉄は、脳内で感情をコントロールする神経伝達物質(セロトニンやドパミンなど)を作る際、不可欠な役割を果たしています。そのため、鉄が不足すると以下のような症状が出やすくなります。

  • 激しい疲労感・倦怠感 

  • 気分の落ち込み・意欲の低下 

  • 不安感・イライラ 

  • 睡眠の質の低下 

これらはうつ病やパニック障害の症状と非常によく似ています。心の問題だと思っていても、鉄欠乏が原因であれば、鉄分を補うことで、症状が劇的に改善するケースも少なくありません。

3. 特にチェックが必要な方

特に以下に当てはまる方は、フェリチン値が低下している可能性が高いため、積極的な検査をお勧めしています。

  • 月経のある女性:毎月の月経や妊娠・出産により、多くの鉄を必要とします。

  • アスリート(特にランナー):足裏への衝撃や発汗により鉄が失われやすく、パフォーマンス低下の原因になります。

  • 偏った食事の方:過度なダイエットや不規則な食事は、体内の鉄を減らす要因になります。

当院の方針として 

「ただの疲れ」や「性格のせい」だと思っていた不調が、実は数値で裏付けられる身体的な要因だったと分かることで、安心される患者さんも多くいらっしゃいます。

当院では、心の悩みに対し、多角的な視点からアプローチします。初診時の採血は、最適な治療方針を立てるための大切なステップです。

「もしかして鉄不足かも?」と気になる方は、診察時にぜひお気軽にご相談ください。一緒に、心と体のバランスを整えていきましょう。

当院では、おによるサポートはもちろん、生活環境の調整や不安との付き合い方を一緒に考えていきます。

執筆・監修

こちらの記事は、下記の精神科医が執筆・監修しております。

 
興梠真紀(こうろ まき)
  • 役職:東京はなクリニック院長
  • 資格:精神保健指定医/日本精神神経学会認定専門医/日本医師会認定産業医/労働衛生コンサルタント
  • 学会:日本精神神経学会

 

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME