更年期のトンネルを抜けた小田さんのお話4
【花咲く物語 3】
更年期のトンネルを抜けた小田さんのお話3 前回の続きから
注)当院の患者様から同意を得た方のお話です。治療の本質には影響がない程度で、個人情報が特定されないよう適宜設定を変更してあります
こうやって少しずつ小田さんが通院して心の整理を進めている間に、息子さんのけがはなおって、再就職が決まりました。
夫のがんも治療方針が決まり、ご家族としてとも前にむいて歩き始めていました。
たまたまのように見えても、一つがうまく回り始めると、ほかのこともいい方に回り始めるのは、実はよくあることです。きっとうまくいく、と思えると物事の見え方も変わってくるからかもしれません。
その後、季節が移り変わり、秋口になると気分がしずむことが増えましたが、同時に活動的な面もでてきて、大好きだったアーティストのライブに行くようになりました。
後からこの頃のことを「楽しいことをしているはずなのに涙が止まらなくて、ポジティブとネガティブが混じって不思議な感じでした」と話してくださいました。
心が回復するときは、たいてい一直線に良い方向へ向かうのではなく、「心地よい世界」と「不安だらけの世界」を行ったり来たりしながら、だんだん「心地よい世界」にいられる時間が長くなっていきます。
こんなゆらゆらとした時期がしばらく続きましたが、小田さんは気分のいいときに少しずつ行動範囲を広げていきました。
初めは都内のデパートへ買い物、都内のライブ、その次は近県への日帰り旅行、その次は新幹線で大阪のライブへと、始めは少しずつ、あとの方は大胆に広げていきました。
この4年間どれもできなかったことばかりです。
(次回へ続きます)
執筆・監修
こちらの記事は、下記の精神科医が執筆・監修しております。
興梠真紀(こうろ まき)
- 役職:東京はなクリニック院長
- 資格:精神保健指定医/日本精神神経学会認定専門医/日本医師会認定産業医/労働衛生コンサルタント
- 学会:日本精神神経学会
