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精神科の薬と妊娠|安全な出産を迎えるために

[2025.06.15]

妊娠を考えたり、妊娠がわかったりしたとき、精神科の薬を飲んでいると

 

「赤ちゃんへの影響は?」

「薬はやめなければいけないの?」

 

といった不安を感じるのは自然なことです。

 

心療内科に通いながら、薬も続けて元気な赤ちゃんを出産された方はたくさんいらっしゃいます。


この記事では、精神科の薬と妊娠について解説します。

精神科の薬を飲んでいても妊娠・出産は可能です

精神疾患の治療をしながらでも、適切な準備と医療との連携があれば、安全に妊娠・出産を目指せます。

 

「薬を飲んでいるから無理」と、赤ちゃんを諦める必要はありません。

 

もちろん、妊娠中の薬の使用には慎重な判断が必要です。

 

しかし、薬を自己判断で急にやめてしまうとお母さんの心身の状態が悪化し、妊娠の継続や赤ちゃんの発育にとって好ましくない影響を与える可能性もあります。

 

大切なのは正しい情報を知り、ご自身の状況について当院および産婦人科とよく相談することです。

 

あなたと赤ちゃんにとって最も良い方法を見つけていきましょう。

もともと薬を飲んでいる場合

精神科の薬を服用している方が妊娠を考え始めたり妊娠が判明したりしたら、できるだけ早くご相談ください。

 

また、産科の医師にも、必ず服用中の薬について伝えましょう。

 

現在、多くの抗精神病薬や抗うつ薬は赤ちゃんへの影響が少ないと考えられています。

 

また、抗不安薬(精神安定剤)や睡眠薬は、量を減らすことが勧められるものの、体調コントロールに必要な量は服用できます。[1]

 

現在の病状、薬の種類や量、妊娠週数などから、薬が妊娠や赤ちゃんに与える可能性のある影響と、薬を続けることによるメリット(お母さんの心身の安定)のバランスを検討します。

 

具体的には、妊娠中の場合以下のような治療方針が一般的です。

 

  • 現在の薬をそのまま継続する
  • 比較的リスクが低いとされる別の薬に変更する
  • 薬の量を減らす
  • カウンセリングなどの非薬物療法を強化する

 

どの方法が最適かは、一人ひとりの状況によって異なります。

 

現在の状況と照らして、より良い治療方針を決めていきましょう。

妊娠中に薬を飲み始める場合

妊娠中は、生活環境やホルモンバランスの変化などにより、精神的な不調が悪化したり新しくあらわれるケースがあります。

 

妊娠中に精神科の薬が出された場合、まずはしっかりと飲んでこころを安定させましょう。

妊娠中の薬との付き合い方で大切な3つのこと

妊娠中に薬と付き合っていく上で、大切なことが3つあります。

自分の判断で薬をやめない

妊娠がわかったとき、薬の影響を心配して自己判断で中止してしまう方もいます。

 

しかし、薬の急な中断は症状の悪化や再発を招くリスクがあります。お母さんの精神的安定は、赤ちゃんの健康にもつながる大切な要素です。

 

やめる・続けるの判断は必ずご相談ください。

薬の種類や量は医師と相談して調整する

妊娠中の薬の影響は、薬の種類、量、そして妊娠週数によって異なります。

 

とくに脳や神経など、赤ちゃんの身体にとって重要な器官が作られる妊娠初期(妊娠4週〜12週ごろ)は、薬の影響を受けやすい時期です。

 

ただし、妊娠初期ではなく、妊娠中期・後期の服用に注意が必要な薬もあります。

 

症状や体質、妊娠の状況などを総合的に考え、薬の種類や量を決定していきます。

薬について気になることは早めに相談する

薬のこと、体調のこと、赤ちゃんのことなど、少しでも気になることや不安なことがあれば、遠慮せずに早めにご相談ください。

 

必要に応じて産科の主治医にも連携し、薬の調整をおこないます。

妊娠中の薬について気になる際の相談先

妊娠中の薬に関する不安や疑問について、相談できる専門家や窓口をご紹介します。

主治医(産科・精神科)

妊娠が分かって産科へ受診する際は、当院にも妊娠のことをご連絡ください。

 

体調面のサポートや薬の調整を行います。

 

また、もしこれから妊娠を考えている場合は、先にご相談いただければ、妊娠に備えた薬への変更や減量を検討できる場合もあります。

 

産科と精神科では、おもに「紹介状(診療情報提供書)」という書面を中心に、急ぎの場合は電話やメールなどで患者情報のやりとりを行います。

 

患者さん自身の口で伝えていただくことも大切ですが、必要に応じて遠慮なく紹介状を活用しましょう。[1]

妊娠と薬についての専門的な相談先

東京都にある国立成育医療研究センター内にある「妊娠と薬情報センター」では、妊娠・授乳中の薬物治療に不安を持つ女性(妊娠中もしくは妊娠希望あり)の相談に対応しています。


2021年度の実績では、相談のうち44%が精神神経系の薬についての相談だったとされています。


また、全国47の都道府県にある拠点病院に「妊娠と薬外来」が設置されており、各地域の病院で相談をすることもできます。[2]

 

代わりとなる薬の提案はできませんが、不安がある方は利用を検討してみるのもひとつの方法です。

精神科の薬と妊娠についてよくある質問

精神科の薬と妊娠について、よくいただく質問にお答えします。

精神科の薬を飲んでいると赤ちゃんに異常が出やすくなりますか?

ほとんどの薬は、赤ちゃんの異常に関係がないとされています。

 

ただし、赤ちゃんの形の異常が少し起こりやすくなる薬や、赤ちゃんの内臓のはたらきに影響を及ぼす可能性のある薬も一部あります。[1]

 

そのため、薬を処方する際は個々の状況に合わせたものを検討していきます。

 

大切なのは、薬が赤ちゃんに影響するかもしれないリスクと、お母さんの体調悪化のリスクを正しく見極めることです。気になる点は遠慮なくご相談ください。

精神科の薬を飲んでいると妊娠しにくくなりますか?

一部の薬は、月経不順や性的興味の減退などの副作用が妊娠のしにくさにつながる可能性があります。[1]

 

ただ全ての薬が妊娠しにくさに直結するわけではありません。

 

うつ病や不安障害などの疾患そのものが、性機能や妊娠への意欲に影響を与えることもあるからです。

 

もし妊娠を希望していて、薬の影響が気になる場合は、妊娠を考え始めた段階で早めにご相談ください。

 

必要に応じて、薬の調整や、婦人科的な検査・治療を検討することもあります。

漢方薬なら妊娠中でも安全ですか?

「漢方薬=自然のもの=安全」とは限りません。

 

漢方薬にも、妊娠中は避けたい成分が含まれている薬はあります。[3]

 

妊娠中の薬については、必ずご相談ください。

出産後に母乳をあげることはできますか?

多くの場合、精神科の薬を服用しながらの母乳育児は可能です。

 

薬の成分は母乳に少し移行しますが、赤ちゃんの身体に入る量は少なく、問題になることは少ないためです。

 

薬の種類や量、赤ちゃんの状態によっては、注意が必要な場合もあります。

 

また、母乳とミルクを交互にあげたり産まれてすぐに出る「初乳」だけ母乳にして、ミルクにしたりする方法もあります。

医師と相談しながら安心して妊娠・出産を迎えましょう

妊娠・出産という大きな人生のイベントは、不安をともなうかもしれませんが、多くの患者さまが、元気な赤ちゃんを迎えています。

 

薬を飲んでの妊娠に不安がある場合は、どうぞ気軽にご相談ください。

 

 

診療は予約制となっております。詳しくは以下のページをご参照ください。

初診・再初診のご予約方法、診療の流れ

 

参考文献:
[1]こころの不調や病気と妊娠・出産のガイド|日本精神神経学会・日本産科婦人科学会

https://www.jspn.or.jp/guide/
[2]妊娠と薬情報センター|国立成育医療研究センター

https://www.ncchd.go.jp/kusuri/
[3]漢方Q&A|日本臨床漢方医会
https://kampo-ikai.jp/faq/obs3/

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